[EVENT REPORT] 6/28 WithコロナからPostコロナへ~多様化するひとり親家庭支援を考える :#おたがいハマ セミナー vol.4

<トークレポート>

横浜市政策局 共創推進室 関口昌幸さんより、横浜市民意識調査ー心配事の経年変化ということで、各データやグラフを見ながら説明。平成10年頃、西暦2001年21世紀になる前後から、心配事はないという回答が減り、様々な心配事が増えている結果が表れている。特に「自分の病気や健康、老後の事」「家族の病気や健康、生活上の問題」が半数を占めるようになり、現在に至るまで増え続けている。
横浜市の出生率(生まれた子どもの数を人口/千人当たりに換算した数値)は、昭和49年20.6から平成29年には7.4今に至るまで減り続けていて少子化が進んでいるが、合計特殊出生率(一人の女性が一緒に平均して産む子どもの人数)は現在の人口を維持するのに必要な水準といわれる2.08を下回り、昭和50年には1.92だった数値が、平成16年にはいったん1.14まで低下したが、近年は増加傾向にあり、平成29年には1.32となっている。 世帯の割合推移のグラフから、単独世帯と夫婦のみの世帯は増え、核家族世帯が減り、子どものいない世帯の割合が増えてるという現象が見える。
さらに20代30代の女性が時代と共に仕事を辞めず、未就学児の両親が共働きしている状況が時代と共に増えている。また婚姻・離婚件数と婚姻率も全て減っていて、結果的に離婚率は横ばい。20代30代の未婚率としては男性も増加しているが、特に女性の未婚率が時代と共に増加している。
横浜の家族の在り方が時代と共に大きく変わっている状況が見て取れるので、それを踏まえて話題提供とし、以下ゲストのお話につなげる。

一般社団法人日本シングルマザー支援協会 江成 道子さんより、自らの経験をもとにひとり親の自立支援を行っている方法をご説明していただきました。
2002年に児童扶養手当の法律が変わって、申請しないと手当てが半額になってしまう。永遠にもらえるはずのない手当てを当てにするのではなく、自立を促す意味もあるため、自ら働いて自立をする必要がある。ただそれがあまり浸透していない。 でもどうやって自立をしていいかわからないと思うので、自立を支援するための活動を自らの経験をもとに行っている。
まずは、自分のタイプを知ることが大切で、ある程度のお金を得られる仕事を探すために、何にストレスを感じやすいタイプか、仕事をする前の知るステップ1。その次に1で知りえたどのような育て方をしたいか、自分のタイプに合う仕事、企業、求められる人になる方法を知り、仕事を見つけるステップ2、実際に仕事を始めてから1年間を楽しく長く働くという事に重きを置いたステップ3の3つの段階をもって支援をしている。
実際に年齢とお子さんの年齢と人数に沿った支援をする前と後の収入比較例を出しながら、決して年収が上がってなくても働き方が変わっただけで幸福感を得た人もたくさんいるが、わかりやすく金額でアップした例を説明。
3つのステップを様々な企業さんや法律事務所、行政との連携などたくさんの協力体制がある具体例を説明。

一般社団法人りむすび しばはし聡子さんより、離婚しても親はふたり、共同養育とは何なのか、それに向けた支援の必要性を説明していただきました。
「共同養育」とは離婚しても、両親が養育に関わることであり、実情は離婚して離れて暮らす相手の親に会っている割合はたったの3割しかない。それには様々な理由があるが、単独親権という法律が日本にはあることと、離婚したらもう会いたくないという感情、裁判で係争中だから、さらに養育を約束しなくても離婚できてしまう状況など様々な現状。でもそれは子どもにとってはずっと両親に仲良くしてほしいし、子どもを間接的に傷つけている状況。だが、親の気持ちとしてはもう関わりたくない、養育費払いたくないなどの気持ちが先行してしまう。しかしながら離れていても共同養育はできるはず、子どもと親と社会課題の三つを解決しながら、子どもにも親にも双方にメリットがある共同養育が必要。
離婚したらひとり親になるという固定概念を、離婚してもふたり親という概念に変化させていかなければならないと思っている。 国や行政もひとり親支援を行っているが、本来ふたり親を支援しなければならないし、司法の現状としても裁判や法律などを利用し、離婚ビジネスに利用されている点も、民間団体の支援としても片方の支援では成り立たないので、行政民間司法それぞれが共同養育を支援していく世の中にならなければならない。
行政に必要な取り組みとしては、自身もセミナーを行うが、養育費をどれだけ多くもらえるか!以上、だけになってしまいがちだが、子どもにとっては面会交流ができる共同養育に向けてのセミナーが必要。加えて支援を支える自立支援員の育成が必要。さらに直接会いたくないという親のために面会交流支援が必要。ADR(裁判外紛争解決手続き)という相手の気持ちを理解して三者で協議する仕組みもある。法務省も2019年12月に研究会を発足し、あったらいいなではなく、なくてはならない「共同養育」を広めていきたい。

<フリーディスカッション>

(関口) お二人の活動から色々学びが多かった。時代と共に働き方や世代構成など変わっているが、改めてココまで聞いてどう感じていますか。

(江成) 若いお母さんも高齢女性もひとり世帯は皆さん貧困問題を抱えている。ひとりという事は世帯主。世帯主の働き方を考えなければならない。どうしてもひとり親が時間の融通がきく医療事務を選んでしまうが、収入は上がらないので世帯主として選ぶ仕事ではない。パートタイムで働くのは生活のためではなく、気分転換のため。工場などがそれをまじめで働く女性を安く雇えるとまだまだ勘違いしている。男女の概念が日本はまだまだ分けられていて、今は女性の方が上手く働けない人が多いので、シングルマザーを支援している。今後これは変わっていくと思う。
このコロナ禍で働き方が変わり、こんな管理職必要あったっけ、みたいな感覚も出ている。管理職が管理する人を見極める資質を問われている。

(しばはし) 自分たちの経験が自分の子どもたちへ継承する。概念が変わりにくい。それなら視点を変えて子ども目線で考える必要があるのではないか。Re結び=りむすび という法人で自身の経験をもとに共同養育が大切だと広めている。子どもは大きくなっても子ども、親もそう。そのつながりを片方奪う権利は誰にもないと思う。一方で子どものためといいつつ、それでつぶれてしまう親もいるので、それぞれの感情は尊重しつつ、機会を奪わない環境整備が大切。

(杉浦) リビングラボ、共生社会というキーワードで活動しながら、おたがいハマをやっている。そんな時代にこのコロナ禍でのエピソードを聞きたい。

(江成) 金銭的な様々な支援があって、家に居られるという時間を未来のために使えればいいのではと思い、支援をさせていただき、気持ちも収入も安定している人は、そのように考えられる人が多いが、感情的に考えている人はお金もらえてラッキーとしか考えられず、もったいなぁと。

(しばはし) 共同養育を実践できている人にとってはこういう状況では、いざという時に頼れる人は元旦那、元奥さんという相手がいるというのに気づけて、乗り越えられていると思う。改めて必要なことだと気づかされた。この機に離婚した相手と仲良くなれたという声があった。

(江成) 逆にこの状況で離婚を考えるという相談も増えた気がする。今日色々伺って、様々な支援を点から線にできるようにこれからも活動を続けていきたいと感じた。

(しばはし) なかなか行政の方には、共同養育という言葉に共感をしてもらえないが、今日は色々視聴者の皆さんも含めて知ってもらえたと思うので、画期的な日になった。これからもこれをきっかけに続けていこうと思います。

(関口) このコロナ禍で気づかされた部分も多いと思う。多様性を社会の状況と共に考えていきたい。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

<実施概要>

現在、行政では、離婚後のひとり親家庭に向けた経済支援や就労支援のほか、DV支援や法テラスによる法律相談等、ひとりで育てるための支援や女性を守る支援に取り組んでいます。

一方で、子どもの視点で考えると、離婚しても子どもにとって親は変わらずふたりであることから、離婚後に元夫婦=両親で子育てをする「共同養育」は、子どもの健やかな成長に不可欠なことです。

また、共働きの家庭が増え、経済的に自立した女性の中には、離婚後も夫と育児分担し社会進出など自己実現をはかりたいといったニーズも増えつつあります。共同養育を取り入れシングルマザーが経済的自立することは、従来税金で賄われているひとり親家庭への経済的支援の削減にも寄与します。

今回、#おたがいハマ セミナー vol.4として、6月28日(日)14時から、ひとり親家庭や離婚後の子育ての形の多様化に伴い、離婚後、共同養育を実践しながら自立する女性への支援の必要性を考えるためのオンラインセミナーを企画しました。

▽タイトル:「WITHコロナからPOSTコロナへ~多様化するひとり親家庭支援を考える」#おたがいハマ セミナー vol.4

▽趣旨:新型コロナウィルスの社会経済的影響が長期化していく中で、ひとり親家庭では、失職による経済的困窮や休校化での子どもたちへの教育支援など様々な課題に直面しています。

こうした課題を解決していくためには、三密を徹底的に避けながらも、新しい働き方、学び方、暮らし方を模索していく「WITHコロナの時代」に相応しい新しいひとり親支援のあり方が求められています。

今回のセミナーでは、WITHコロナを前提にPOSTコロナの時代を切り拓く、新しいひとり親家庭支援のあり方を「パラレルキャリア」、「自立支援」、「共同養育」をテーマに考えます。

▽内容(敬称略)
講演:「リビングラボで切り拓くWITHコロナの時代のパラレルキャリア」
横浜市政策局 共創推進室  関口昌幸

講演:「福祉からの脱却、ひとり親家庭の新しい自立支援」
一般社団法人日本シングルマザー支援協会  江成 道子

講演:「ひとり親からふたり親へ 共同養育に向けた支援の必要性」
一般社団法人りむすび   しばはし聡子

フリーディスカッション
・登壇者:江成道子、しばはし聡子、杉浦裕樹(#おたがいハマ 事務局)
・司会:関口昌幸

▽主催
一般社団法人日本シングルマザー支援協会
一般社団法人りむすび
一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス

▽共催:#おたがいハマ プロジェクト

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〇プロフィール
江成道子さん:一般社団法人シングルマザー協会 代表理事
2013年7月に一般社団法人シングルマザー協会を設立。シングルマザーの支援を通して、企業や行政との連携の中で、支援とビジネスの融合を目指し活動。2014年8月にはシングルマザー向けの就職イベントを横浜で開催。パートナー企業230社、会員数6000名を超え、日本で最大のシングルマザーコミュニティを運営。2度の離婚で5人の娘と6人の孫がいる。

〇しばはし聡子さん:一般社団法人りむすび 代表
慶應義塾大学法学部卒。”離婚しても親はふたり”自身の子連れ離婚の経験から、離婚後も両親が子育てに関わる共同養育を普及すべく、 2017年「一般社団法人りむすび」を設立。共同養育実践に向けた離婚相談・面会交流支援・コミュニティ運営、および講演・執筆・ メディア出演などを通して共同養育の啓蒙活動を行う。

<実施概要>
日時:6月28日(日) 14時〜15時30分
場所:YouTube LIVE + Facebook LIVE +おたがいハマ公式サイト
参加方法:ライブ映像はこちらのページから視聴できます。
◆YouTubeライブ
https://youtu.be/pv1EzrkM3c0
◆Facebookライブ
https://www.facebook.com/LOCALGOODYOKOHAMA/videos/650963235495300/
◆#おたがいハマ トーク(LOCAL GOOD YOKOHAMA特設サイト)
https://otagaihama.localgood.yokohama/talk/

【参考】
▽一般社団法人日本シングルマザー支援協会
【お金を稼ぐ力を養う】【共感しあえるコミュニティ】【再婚という幸せ】の3つの柱を実現。自立に向けたシングルマザーの社会復帰や転職がスムーズになる3つのステップ。間違えのない離婚に向けて。
https://xn--qckmb1noc2bzdv147ah7h.com/
▽一般社団法人りむすび
共同養育サポートのりむすびは、離婚しても両親で子育てをする共同養育実践に向けたご相談・面会交流サポートを行います。
https://www.rimusubi.com/
▽一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス
「サーキュラーエコノミープラス」をビジョンに掲げ、横浜市内のリビングラボ活動を支援し、共創によるイノベーションを実現します。
https://livinglabsupportoffice.yokohama/

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▽お願い
Facebookに設置した「【横浜市】#おたがいハマ:新型コロナ感染症対策をテーマにした公民連携プラットホームのオープングループ」にご参加ください。新型コロナウイルスに関する情報を共有していきましょう。どなたでも参加できます。
https://www.facebook.com/groups/829823894180583/

▽【ご協力をお願いいたします!】DONATION/物資の寄付・寄贈のお願い
新型コロナ対策ドネーション「物資の寄付・寄贈」をよろしくお願いします!
既にご存じのこととは思いますが、介護・福祉・医療の分野でもマスクや、防護服、消毒薬などが不足しており、現実的に難しい状況になっています。
少しでも改善していくために皆様にお願いがあります。
未使用のマスク、防護服(ビニール製レインコート等でも可)、消毒薬、プラスチックグローブ(手袋)などがありましたら、寄付をしていただきたいと切にお願いを申し上げます。
https://otagaihama.localgood.yokohama/donation/

▽新型コロナウイルスに向き合う産官学⺠の共創プラットフォーム#おたがいハマ
https://otagaihama.localgood.yokohama/

主催:横浜コミュニティデザイン・ラボ、YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス
協力・支援:横浜市
メディアパートナー:ヨコハマ経済新聞、港北経済新聞、タウンニュース、横浜STORY