[NEWS] 混雑度のデータを集めて密を避けた旅行・移動を 高校生がプロジェクト始動

 

高校生が立ち上げた「横浜ホイールマップ」(横浜市中区)が8月3日、住民や旅行客の安全な移動を目的としてバリアフリー・混雑情報を広く利用可能にする「オンラインユニバーサルツーリズムデスクプロジェクト」を始めた。

ユニバーサルツーリズムとは、年齢や障がいの有無に関係なく、誰でも気軽に楽しむことができる旅行のこと。同プロジェクトでは駅・空港・公共施設の混雑状況やバリアフリー状況を調査し、収集・整理したデータを共同編集型のデータベース「ウィキデータ」に登録して誰でもアクセス可能にする。現在は国土交通省のオープンデータを用いて、横浜駅を中心とした駅設備の乗降数やバリアフリー情報の収集とウィキデータへの登録を進めている。

ユニバーサルツーリズムにおいて必要な「車いす用階段昇降機」「多目的トイレ」「オストメイト対応トイレ」等の用語が現状地域や事業者間で統一されていないため、データを登録する際は標準データフォーマットとしてこれらの用語を整理した。これにより、多くのアプリ・サービスやAIでデータを利用しやすくなるという。

横浜ホイールマップは、放課後等デイサービス「キッズコネクション」(中区大和町)での活動の一環として高校生の太田啓介さんが立ち上げた。同施設は障がいのある児童・生徒を対象に福祉サービスを提供する多機能型障害児通所施設。子どもたちが鉄道研究会、動画投稿など自身でやりたい活動や研究を行い、専門知識を持つスタッフがそれをサポートする。太田さんは車いすで生活しており、飲食店などの店舗への入店で大変な思いをしたことから横浜ホイールマップを立ち上げ、学生3人でバリアフリーの状況を調査しデータを公開する活動に取り組んでいる。

太田さんは駅のエレベーターになかなか乗れない事態を避けるために元々混雑時を避けて行動していたが、新型コロナウイルス感染拡大により「密」を避ける必要が出てきたため、混雑度のデータは車いす利用者だけでなく社会全体にとって有用だと考えるようになったという。

「駅の改札口通過数やエレベーターの移動量、道路の通行量のデータは、鉄道事業者・駅ビル管理者・道路管理者が保有している。それぞれの事業者がオープンデータにしていただけるような風潮になっていくきっかけになれば」「携帯電話の位置情報を分析して混雑度合いを割り出すことも技術的に可能。広く使いやすい方法で(個人情報に配慮した上で)携帯電話の位置情報を集計した基礎データがオープンデータになれば」と、各事業者のオープンデータ化への対応を促す。

ウィキデータで既に公開されているデータについては、「誰でもアクセスできるようになっているので、横浜ホイールマップ以外の多様な組織がアプリ開発する展開にも期待したい」と話す。

 

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