【LOCAL GOOD SCHOOL】よこはま起業塾~横浜で食をビジネスにする~講師インタビュー

10月18日から「よこはま起業塾」が始まります。今回は、講師の椿直樹さん、野村美由紀さん、石井瑠美さん、ファシリテーターを務める早乙女大さんに、地産地消と今回のビジネス講座の企画意図についてうかがいました。

参加者:
椿 直樹(株式会社よこはまグリーンピース 代表取締役、農林水産省認定「地産地消の仕事人」)
野村 美由紀(株式会社Woo-By.Style(ウッビースタイル) 代表取締役)
石井 瑠美(株式会社コンサラート 中小企業診断士)
早乙女 大(株式会社よこはまグリーンピース 地産地消企画部「横浜地産地消百貨」運営)
――まずはみなさんの自己紹介をお願いします。

椿:最初はフランス料理から入って洋食全般を学んできた料理人です。横浜の地産地消を広げたいと思い、40代で独立しました。現在はTSUBAKI食堂を運営しながら、「横浜グリーンカレー」や「小松菜ドレッシング」など、家庭でも楽しめる地産地消商品の企画販売も行っています。今回の講座では、一緒に横浜の地産地消を盛り上げていく仲間づくりを目指しています。みんなで盛り上げて、横浜を地産地消の代表都市にしたいと考えています。

 

 

石井:私は、神奈川県内の農林漁業者の支援、地産地消でビジネスをしたい方の支援を行っています。ビジネスはよく「ロマン(想い)とそろばん(数字)」の両輪がないと成り立たないと言われます。ロマンがあってもそろばんを弾けないと、スタートしたときにつまずいてしまいます。ですので、今回の担当講座では、主に数字の妥当性への理解を深めていただこうと考えています。また、ビジネスにつまずく事例を見ていると、ネットワークがないか資金がないかのどちらかの方が多いなと感じることがあります。よこはま起業塾は、ネットワークの部分を椿さんと野村さんが、資金の部分を私がフォローし、実現可能なスタートが切れるような講座になっているのが特徴です。

 

野村:多様な働き方を応援している企画会社を運営しています。働き方が選べる時代になってきているなか、地産地消を生業にするというのは今の時代にマッチする働き方だと思っていて、今回の講座でそういう仲間を増やしていければと思っています。ビジネスをはじめるときの現実的な部分として、テクニックや業界毎に知っておくべきルールや常識があります。私の担当講座では、そういった知っておいた方がいいことを、法律的な部分も含めてお伝えします。もう一つは、自分の商品を誰に届けて、その結果何をしたいのかということを、想いだけではなく現実を通して頭に入れておくことも重要です。ブランディング、ファンづくり、販路といった部分ですね。こちらも私が担当します。

 

早乙女:私はファシリテーターとして参加します。前職はIT系企業でサービス開発を17年経験してきました。食への強い関心から転職を考えはじめたときに、通っていた椿さんのお店でスタッフを募集していることを知り、転職を決意したという経緯があります。自分自身が地産地消ビジネスに飛び込んだ経験から、今回の講座では受講生に近い立ち位置で参加し、みなさんに寄り添って伴走をしていきたいと考えています。

 

地産地消の一番の魅力は“人と人とのつながり”

――横浜の地産地消の一番の魅力はなんですか?

椿:地産地消の本来の価値は、野菜や肉、魚といった食材を介して地域の人が親しくなることではないかと思っていて、そういう人と人のつながりが大切だと強く感じています。
そういう意味では、自分たちが暮らす地域に対する愛着であったり、関わっていこうと思う気持ちは、シビックプライドの一つなのではないかと思いますし、そこを大切にしていきたいと思っています。環境に関することやフードロス・フードマイレージといった数字的な部分は、後からついてくると思っています。

地域のなかにまだまだ広がっていない地産地消

――地産地消の課題はありますか?

椿:先日大学生へ講義をしたのですが、学生の9割は「地産地消」という言葉を知っていました。しかし、先ほどお伝えしたような意味や意義が伝わらないままに使い古されてしまい、今では「SDGs」などの言葉に置き換わってしまっているという気がしています。届いている人はいると思うものの、地場の野菜を食べたり、買ったりすることが地域のなかに広がったかというと、この20年そんなに状況は変わらなかったと感じています。

自分たちのノウハウを若い人たちへ伝えたい

――今回の「よこはま起業塾」を企画された理由をお聞かせください。

椿:より多くの人に地産地消に対する意識をもって欲しいという思いから、専門学校をやってみたいという漠然としたイメージはもっていましたが、そう簡単にできるものではないと思っていました。ただ、TSUBAKI食堂を開店した一昨年くらいから、自分たちのやってきたノウハウを、次世代を担う若い人たちに伝えなければという思いが強くなりました。地産地消を生業にしたいという人に、きちんと対面で伝えたいという思いから企画したのがこの「よこはま起業塾」です。

地産地消を一緒に盛り上げる仲間を増やす

――今回の地産地消ビジネス講座の特徴を教えて下さい。

野村:私たち講師陣は、それぞれ地産地消を生業の一つとしています。今回の講座では、現在進行系で地産地消を実践しているなかでの、気づきやノウハウを伝えたいと思っています。そして、受講者の方には、地産地消をきちとビジネスにしてそれを生業にしていってもらいたいと思っています。そのスタートとして、私たち講師陣はそれぞれ得意とそる分野をもちよって講座を企画しました。参加する方々がそれぞれにアイデアや得意としていることを見つけて、それを持ち寄ってまた新しいことをはじめられるような関係をつくっていきたいと思っていて、この講座はそういう仲間捜しの旅だとも思っています。

早乙女:そこは、よこはまグリンピースが創業以来つづけてきた事業展開にも通じるところがあります。従業員数は少ない会社ですが、「横浜18区丼」という各区の食材を使った月替わりのランチ企画を考えたときも、われわれ社員だけで進めたわけではなく、18区の魅力的な人たちとコラボレーションをすることで実現してきました。この18区丼の企画で、横浜に区が18あることを知ったという人もいるくらいでしたので、丼という一つの表現方法をつかって、より多くの方に横浜の魅力を感じてもうことができたと思っています。そして、それは仲間という存在があったからこそできたことで、われわれだけでは発想できなかったアイデアが広がりをもって伝わって、こんな風に地産地消をとらえることができることに気づきました。われわれも表現方法を模索しているなかで、仲間と共に、より日常化する表現方法を見つけ、より明確化し盛り上げていくことが、横浜市民や消費者の方々に地産地消を広げていくことに繋がると思っています。

野村:私たちは、講師ではあるのですが教えることが本業ではなく、実践者であることが一番の特徴だと思っています。ですので、講座のあとのフォローアップでは、具体的な販路や販売経験について、実践的なことを伝えることができるプログラムになっています。スタートを一緒にきって、その後仲間になれたら一緒に進んでいける。それは、地産地消を生業にしている私たちが組み立てた講座だからこそできることだと思っています。

地産地消の視点や視野、ものの見方が変わる講座

――どんな方に受講してもらいたいと思っていますか?

早乙女:受講生として、既に地産地消ビジネスをはじめている方やある程度プランニングができている方だけでなく、今はほかの仕事をしているけれども、今後の人生設計のなかで、地産地消ビジネスを新にはじめたいという人でも、スタートを切れるような内容を心がけようと思っています。5回の講座ではその基盤を積み上げていくことを考えていて、知識というよりは、視点の持ち方や視野の学びを多く取り入れています。講座を受講する前と受講した後で、地産地消のものの見方が変わってくれたら嬉しく思います。

椿:地産地消をやってみたいと思っても、なかなかビジネスにまでできなかったという人もいると思っています。何かをやってみたいといったときに、そのできなかった部分を一緒に考えたり、何かを一緒に探すこともできるかもしれないと思っています。今、われわれは魅力有る仲間と成長しあえているわけですが、新しい人たちと出会って新しいことをはじめてみたいなと思っています。

 

【LOCAL GOOD SCHOOL】よこはま起業塾 ~横浜で食をビジネスにする~
〆切(10月11日)間近、お申し込みは→https://peatix.com/event/3275438