パシフィコ横浜から上瀬谷へ~植物の力で人と大地を繋ぐ「フラワーループ」で、サーキュラーエコノミーplusの実現を
横浜市で進行中の「フラワーループ」プロジェクトは、子どもや若者が中心となり、「GREEN×EXPO 2027」の開催の地である瀬谷区を中心に、市域全体で、花の命を紡ぎ続けることで、地球にやさしく、人を元気にする横浜版地域循環型経済を推進しています。
🌸 フラワーループとは?
「フラワーループ」は、イベントなどで使用された花を破棄したり、焼却してしまうのではなく、世代や職業の異なる多様な市民の連携によって、再利用し、市域内で循環させる取り組みです。具体的には、市域の都心臨海部などで開催されたフラワーイベントで使用された花苗を、「GREEN×EXPO 2027」の開催の地である瀬谷区を中心に、地域の学校や施設等に提供・植栽したり、堆肥化する実践です。これによって、街の緑化やCO2の削減に寄与し、脱炭素社会を形成すること、そして植物を慈しみ、楽しむ文化をオール横浜で、育むことを目的としています。また、この活動は、2027年に開催予定の「GREEN×EXPO 2027」に向けた地域の盛り上げにも寄与しています。
1. パシフィコ横浜から上瀬谷の地へへ
この5月3日~5日にかけてパシフィコ横浜で開催された「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」(以下「フラワー&ガーデンフェスティバル」)でのフラワーループの取り組みを紹介します。イベントの最終日(5月5日)にフラワー&ガーデンフェスティバルの実行委員会の協力を得て、このイベントで展示・販売された花苗のうち約1200ポットを回収し、瀬谷区内の高校や小学校、福祉施設、地域団体に配送するための積み込み作業を行いました。その翌日、積み込まれた花苗は、旧瀬谷西高校に無事に積み下ろされ、そこから瀬谷区内の小学校や福祉施設に届けられました。なお、花苗の積み込みや積み下ろし、配送作業にあたっては、横浜イノベーション推進機構がハブとなり、横浜瀨谷高校の生徒や教員、横浜すぱいすのメンバー、サカタのタネや藤木運輸の社員、横浜市政策経営局の職員などが、協力・連携しておこないました。
2. 上瀬谷フラワーロードプロジェクト
上瀬谷地域でのフラワーロードプロジェクトは、2021年に旧瀬谷西高校の生徒たちが地元の方々や企業に呼びかけ、始まった取組です。「GREEN×EXPO 2027」の会場に隣接してある海軍道路の路端に、幼児から若者、高齢者まで、上瀬谷地域の住民が、一緒になって花苗を植栽し、栽培・管理まで行うこの活動は、地域の景観を美しく保つと共に、地域住民のつながりを深める役割も果たしています。この5月10日も旧瀬谷西高校のスピリットを引き継いだ横浜瀨谷高校の主催で、上瀬谷フラワーロードの植栽イベントが行われ、フラワー&ガーデンフェスティバルから届けられた花苗も植栽されました。
3. セヤミツラボの取組
「フラワーループプロジェクト」において重要な役割を果たしているのが、上瀬谷の地で養蜂を通じた地域循環型経済の取組を進める「セヤミツラボ」の活動です。海軍道路のすぐそばで、障害者や子ども・若者たちと共に蜂を飼うセヤミツラボは、蜂たちによる受粉活動を通じて、フラワーループを広げると共に、ハチミツの生産・加工・販売を軸とした地域循環型経済の取組も推進しています。フラワーガーデンフェステバルの花苗は、セヤミツラボが活動の拠点とする農場にも届けられています。5月10日には、セヤミツラボの活動を担う障がい者ライフサポート「ぱんの木」の利用者たちとご家族連れの住民が、楽しく交流しながら採蜜を楽しむワークショップも開催されました。
4. ミツバチがつなぐ、自然・福祉・地域の輪──セヤミツラボの地域循環型まちづくり
横浜市瀬谷区を拠点に活動する「一般社団法人セヤミツラボ」は、地域の自然環境を活かした養蜂に取り組みながら、障がい者福祉施設や地元の学校と連携し、農業と福祉を結ぶ「農福連携」の実践に挑んでいます。ミツバチの飼育や蜜源植物の植栽、ハチミツの採取・瓶詰めなどを通じて、子どもから高齢者、障がいのある方々まで多様な人が関われる地域活動を展開。収穫したハチミツは「地元産の恵み」として販売され、地域の経済循環にも寄与しています。こうした取り組みは、環境・社会・経済のバランスが取れた持続可能な地域づくりの新しいモデルとして注目されています。今後は、2027年の国際園芸博覧会を見据え、「花とハチミツのまち・瀬谷」のブランドづくりにも力を入れていく予定です。
(動画提供:一般社団法人横浜イノベーション推進機構)
🌿 今後の展望
フラワーループプロジェクトは、地域の学校、企業、団体、住民、行政が、それぞれの役割を果たしつつ、ゆるやかに連携しながら進める取り組みです。植物の命の循環を通じて、街の美化や地域のつながりづくり、環境、教育、福祉、そして地域経済の活性化など、多方面での効果が期待されています。今後も、「GREEN×EXPO 2027」の開催を意識した横浜ならではの公民連携の取組として、進められて行く予定です。