横浜からアジアへ広がる循環都市ヨコハマの今をたどる

横浜市は2025年11月、パシフィコ横浜ノース(横浜市西区みなとみらい1-1-2)で開かれたアジア・スマートシティ会議2025で創設された「アジア循環型都市宣言制度」の第1号署名都市となりました。横浜で進むサーキュラーエコノミーは、ごみの削減や再資源化にとどまらず、歴史的建造物の活用、公共建築の再利用、都心部での資源循環、国際連携までを含む都市の取り組みとして広がっています。

<歴史や建物を使い続ける都市の循環>
横浜では以前から、建物を壊して更新するだけでなく、地域の記憶を残しながら活用する取り組みが続いてきました。ベーリック・ホール(横浜市中区山手町72)や旧大岡家長屋門(横浜市瀬谷区阿久和東1-17)をはじめ、横浜赤レンガ倉庫(横浜市中区新港1-1-1)なども、歴史的価値を生かしながら今の都市に組み込まれています。こうした蓄積は、資源を物だけでなく時間や記憶も含めて循環させる考え方につながっています。

<創造都市の取り組みが新たな拠点へ>
横浜市は文化芸術創造都市施策の中で、関内関外地区の遊休不動産や歴史的建造物の活用を進めてきました。その流れの中で、旧第一銀行横浜支店(横浜市中区本町6-50-1)はBankPark YOKOHAMAとして活用され、循環や共創をテーマにした事業の場になっています。さらに、星川駅周辺ではCreative Circular Culture Centerの考え方をもとに、地域資源を扱う新たな拠点づくりも進んでいます。

<学校の床材を次へ生かすREYO>
公共建築の更新で出る古材を再利用する「REYO 横浜市再利用材プロジェクト」も、横浜の循環型の取り組みのひとつです。学校体育館の床材などを、建て替え後に別の什器や遊具へとアップサイクルし、素材に残る記憶ごと次へつないでいます。公共施設の更新を単なる解体で終わらせず、新たな価値へ変える仕組みとして進められています。

<みなとみらい21地区で進む都市型循環>
みなとみらい21地区では、企業や商業施設が集積する特性を生かし、官民連携で循環の仕組みづくりが進んでいます。家庭の廃食油を持続可能な航空燃料SAFへつなぐ「Fry to Fly Project」では、市内店舗での回収が進められています。あわせて、地区内の資源の流れをデータで把握するマテリアルフローの可視化も進み、都市単位で循環を高める試みが続いています。

<横浜からアジアへ広がる連携>
横浜は市内での実践に加え、その知見を都市間連携へ広げようとしています。2026年からは会議名称がアジア太平洋循環型都市フォーラムに変わり、アジアの都市が循環型社会の取り組みを共有する場として位置づけられます。横浜は開港以来、外から新しい価値を受け入れてきた都市です。その歴史の延長線上で、循環型都市づくりの経験をアジアへつなぐ役割を担おうとしています。

<2027年に向けた横浜の現在地>
2027年には、旧上瀬谷通信施設(横浜市瀬谷区・旭区)でGREEN×EXPO 2027が開かれます。横浜で進む歴史資産の活用、公共建築の再利用、都心部での資源循環、国際連携は、この節目に向けてひとつの流れとして見えてきました。横浜のサーキュラーシティは、新しい制度だけでつくられたものではなく、都市の蓄積を使い直しながら次の時代へつなぐ取り組みの積み重ねの上にあります。

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